精神科

統合失調症

統合失調症は、こころや考えなどがまとまりを欠いた状態になる病気です。幻覚、幻聴などを伴うことがあります。思春期~青年期に発症することが大半で 、罹患率は昔から大きな変化は見られず、人口の1%の割合で発生する比較的身近な病気です。早めに治療することが症状の改善につながるといわれており、早期発見と早期治療が重要だと考えられています。本人が病気を自覚できないケースも多く、家族からの相談で病気が見つかることもあります。「陽性症状」ではこれまで現れなかった幻覚や幻聴などの症状が見られ、「陰性症状」では感情に乏しくなる、意欲の減退などが確認されます。

症状

  • 頭の中で声が聞こえる
  • 悪口を言われているような気がする
  • テレパシーを送られている
  • 盗聴器を仕掛けられている
  • 自分の気持ちを読まれている
  • 誰かに後を追跡されている
  • 考えがまとまらない
  • 身の回りのことができなくなる

治療

当院は明治時代より、100年以上統合失調症の治療を行ってきた歴史があります。薬物治療と精神療法を組み合わせ、患者さんにとって最良の治療を行えるよう体制を整えています。現在当院では長期入院患者さんの退院支援を積極的に行っており、退院後の生活をスムーズに移行できるサポートも充実しています。

うつ病

元気が出ない日が続き、何もやる気になれない。仕事や学校にも行きたくない。何をしても喜びや楽しさを感じないなどの症状が一定期間続いている場合、うつ病の可能性があります。一時的な気分の落ち込みは人間であればだれでもありますが、うつ病になるとふさぎ込んだ気持ちが持続します。脳の機能障害であり、物事をうまく進められなくなり、自分を責めてしまうなどの悪循環がうつ症状を加速させてしまうこともあります。普段であれば乗り越えられるストレスに対し、過敏に反応してしまう、つらさを感じるなどの症状があれば、早めの受診をおすすめいたします。

症状

  • 気分が落ち込む
  • 何をしても楽しくない
  • 全てのことに興味がわかない
  • なかなか眠れない
  • 一日中眠い
  • いつもよりかなり早く目覚める
  • 自分を責めてしまう
  • 思考力、判断力が落ちた
  • 死にたい気持ちになる
  • 自分には価値がないと思う

治療

薬物治療による治療とあわせて、精神療法も症状改善への効果が高いと言われています。ゆっくりと休養できる環境や、家族や職場など周囲の理解を得ながら治療をしていくことが重要です。

双極性障害( 躁うつ病 )

気持ちの変化が著しく、気分が正常な範囲を逸脱して落ち込んだり、高揚したりすることが一定期間持続します。抑うつと躁状態を行き来する場合は双極性障害(躁うつ病)と呼ばれます。抑うつ気分は不安症状を伴うケースも見られます。

症状

  • 眠らずに働いてしまう
  • 話が止まらなくなる
  • 他人に対して怒りっぽくなる
  • 過度の自信
  • 感情を抑えられない
  • 快楽を求めて逸脱した行動をとってしまう

治療

双極性障害(躁うつ病)についても薬物療法が基本となりますが、処方するお薬はうつ病と異なります。双極性障害(躁うつ病)は家族からの情報と、本人の認識している状態が一致していないケースもあり、診断が困難と言われています。当院では、知識豊富な医師による判断の正確さを大切にしており、患者さまの症状によっては診断にお時間を要することがあります。

強迫性障害( OCD )

手を洗ったのにまだ汚い感じがして何度も洗ってしまう、鍵をかけたか不安で確 認しに何度ももどってしまう。そういった一定の行為やめられず、日常生活や 仕事に支障が 出ている場合は、強迫性障害の可能性があります。強迫性障害は考えが頭から離れない、繰り返し起こるなどの【強迫観念】と、その考えや不安を打ち消すための行動【脅迫行為】が 繰り返されます。強迫行動が習慣化すると、強迫行為の引き金となる強迫観念が意識されない場合もあります。男女比は年齢によって多少の差はありますが、ほぼ同等です。思春期後半~成人期初期に発症することが多く、原因はまだ明らかになっておりませんが、脳内神経伝達物質、また脳の機能が影響していると言われています。遺伝の有無についても現在研究段階です。ストレスなどで症状が多発することも言われています。

症状

  • 手を洗わずにはいられない
  • 何度も施錠したか確認してしまう
  • 同じやり方でやらないと気が済まないことがある
  • 自分の発言がどう思われたか過剰に気にしてしまう
  • 目覚まし時計をいくつもかける
  • 何度もシャワーを浴びる

治療

治療については、薬物療法のほか、精神療法が、強迫性障害に効果が高いことがわかってきています。日常生活への影響が大きい症状ですので、適切な治療を早い段階で行っていくことが重要です。

心的外傷後ストレス障害
( P T S D )

悲しい経やつらい経験、その経験の大きさや受けた影響によっては、時間がたった後もその経験がフラッシュバックされて精神的、身体的に影響を与え続けることがあります。
頭から離れない過去の記憶は、本人の意思とは関係なく再生されることがあります。不安な気持ちやつらい気持ちに沈んでしまい、不眠やイライラするなどの症状が現れることもあります。PTSDの症状から、自分も人も信用できなくなり、他人との関係にひずみが生じることもあります。原因として考えられるのは、虐待やいじめ 、戦争や災害、暴力や性被害、ハラスメント等が挙げられます。その他にも、強い心的な影響を体験した場合、PTSDに繋がることが確認されており、原因や症状も限定的ではありません。
※PTSDとトラウマの違い
トラウマが心につらい、悲しい、怖いなどの傷を残すような出来事や体験を指しますが、PTSDはそのトラウマから引き起こされる精神疾患を指します。

症状

  • つらい記憶が消えない
  • トラウマ体験を夢で見ることがある
  • 思い出すと苦しくなる記憶がある
  • 生きている意味が分からなくなることがある
  • いつも緊張している、張り詰めた感覚がある
  • 物音などに敏感になりすぎる

治療

現在PTSDの治療では、認知行動療法や力動的精神療法といった心理療法が効果的であると報告されています。
当院でも、薬物療法と精神療法を患者さまに合わせて行っていきます。

パニック障害

前触れもなく動機や 息苦しさを感じ、めまいや 吐き気、ふらつきが起こるなどの症状が現れ、死んでしまうのではないかという恐怖に襲われることを、パニック発作と言います。パニック発作自体は、人口の2割程度の人が生涯1度以上経験することがわかっています。しかし、その パニック発作や、発作が 起こることでの影響を怖がる予期不安が発生すると、パニック障害の診断へと発展します。
一定の環境や場所でパニック発作が起こる方は、発作の原因となる場所や状況を避けるために、行動が制限されてしまう可能性もあります。病院で検査を行っても、身体的な異常が認められない場合もあります。
パニック障害の患者さまの中には、パニック障害によって引き起る様々な問題に対して自らを責めることが多くなり、他の精神疾患を併発しているケースも見られます。うつ病など他の精神疾患を発症してしまうケースも少なくありません。男女比では、やや女性の方が 多く、20代~30代に発症することが多いと言われています。

症状

  • 心臓がドキドキする
  • めまいがする
  • ふらつく
  • 自分をコントロールできなくなる
  • 倒れそうになる
  • 急に汗をかく

治療

パニック障害に対して、抗うつ薬による薬物治療や、認知行動療法といった心理療法が効果的であることが示されています。最近では、抗うつ薬や抗不安薬などが効果的だという報告がされています。薬物治療と同時に認知行動療法を用いるとさらに効果が高いことも認められています。
当院でも、薬物療法と精神療法を患者さまに合わせて行っていきます。

認知症

認知症の症状は中核症状と周辺症状の2つに分かれます。中核症状は物忘れや時間、場所、人の顔の認識を始めとする認知機能低下を指し、そこから二次的に表れる広域の症状を周辺症状(BPSD)と呼びます。認知症周辺症状は、悲観的になったり、絶望したり、うつ症状が出る方もいます。暴言や暴力、介護拒否、徘徊なども周辺症状の一種です。介護を行う家族や周りの方との人間関係が症状に大きく影響すると言われています。

症状

  • 徘徊をする
  • 暴言を吐く
  • 暴力を振るう
  • 介護を嫌がる
  • 異食
  • 妄想(お金を取られたなど)

治療

当院では薬物療法と併せて、適切なケアや生活環境の改善など、非薬物療法を行っていきます。認知症周辺症状は、周辺の方の接し方が症状に大きな変化をもたらします。医師・看護師・その他スタッフのチームで症状に合わせた治療を行っていきます。

その他の精神的な症状

精神疾患の症状は多岐にわたります。中にはいくつかの症状が併発していることや、その方の性格的な症状であることもあります。また、判断基準も変化していますので、精神疾患を扱う機関は、診断名をつける際は慎重に行う必要があります。

昨今、インターネットなどで数々の精神疾患の特徴は調べることができます。しかし、独自の判断ではなく、知識や経験のある医師に話をし、適切な治療を行い、しっかりと症状に向き合うことが、早期の改善につながります。

どのような症状でも、一度当院にお悩みをご相談ください。